MBAの不動産エージェントの定義
MBAでは、エージェントを以下のように定義しています。
不動産の売却あるいは購入において依頼者の利益を追求し、その助力や助言を業とする者
以下にその理由を記してまいります。

エージェントの一般的な定義
エージェント(agent)
代理人、代理店、仲介者、周旋人、外交員、(官庁の)代表者、公吏、事務官、スパイ、調査官(出典:weblio)
依頼者に代理して交渉や契約を行う人をエージェトと言うのが一般的です。
スポーツでチームの移籍交渉を行う人、外交員やスパイなど組織の代表として遣わされる人もエージェントと表現されています。
宅建業法における代理
不動産業には「代理」という取引態様が存在しています。
代理は、不動産取引において依頼者(売主)から代理権が授与されて販売活動や募集活動を行い、買主と契約まで行います。「媒介」との違いは主に契約まで代理して行うことができる点です。また、仲介手数料は売主からだけ発生するのが原則となっています。
特に信頼が得られている間柄である場合、例えばデベロッパーが建てたマンションを仲介業者が「販売代理」する場合などに用いられます。
日本ではなぜ「仲介営業」と呼ばれるか
アメリカでは仲介者はエージェントと呼ばれています。
その背景には、アメリカが契約社会であること、エージェントという言葉が常用されていることはもちろんですが、エージェント資格の取得難易度が考えられます。学校に通い修業した上で州から許可を得なくてはなりません。医師、弁護士と並ぶステータスの高い職業と認識されているようです。
エージェントは売主側(seller's agent)と買主側(buyer's agent)に分かれ、それぞれに不動産専門知識をもってアドバイスとサポートを行います。また、エージェント以外にもインスペクターや住宅ローンブローカーなど明確な分業制を敷いていることも特徴です。
日本では、それらをすべて不動産仲介業者が行います。
売主と買主の双方を依頼者とし、住宅ローンの斡旋、税金やライフプランの相談も行います。売主と買主の間を「仲介」しています。それなので「仲介営業」「仲介さん」と呼ばれています。
仲介営業の問題点
売主と買主の双方から依頼されることに問題はありません。
日本の仲介営業者はかなり働いています。
問題は、問題のある行為が誘発されやすいことです。
売却の依頼を受けた場合、できる限り情報を自社内に留めることを優先することがあります。これは買主からも依頼を受け双方仲介をすることで手数料を多く得ようと考えるからです。しかし、売主の売却機会の損失に繋がります。
購入の依頼を受けた場合、物件情報の提供と物件案内を中心に行います。すでに公になっている情報を提供し、物件案内は調査を行わないで「内見」だけを行います。「私たちは仲介だから知らない」という言葉で物件の調査を十分に行わないことがあります。
消費者であり弱い立場にある私たちが仲介営業にお願いしたいのは、より良い条件での売却や購入後に問題の起こらない物件の紹介や調査です。
すべての不動産会社がそうしているわけではありません。しかし、一部とは言い難い程度にこれらは行われています。
日本独自の不動産エージェントを
MBAでは、エージェントという言葉を用いることで依頼者の「代理」で業務を行なっていることを意識していただきたいと考えています。
結果的に双方から依頼を受けることはあると思います。しかし、「自分が依頼者の立場に立って不動産の売却/購入へ進めていくんだ」という委任を受けた自覚があれば自然と依頼者の利益を優先できるはずです。
アメリカのように制度全体でエージェント制度を推し進めることはできないかもしれませんが、日本独自の不動産エージェントとその意識が広がれば幸いです。